江戸時代の初期より100年は、ツバキブームであったことは有名である。その一例として、1999年のNHK大河ドラマ「徳川葵三代」の一場面で表現されている。二代将軍秀忠が、三代将軍家光の後見人として京都に赴くことになったとき、折悪しくお江(ごう)の方は病気で同行できなかった。そこで、お江の方は将軍を見送るにあたって「あなたのお帰りの際には、あなたの大好きなツバキの打掛けを着てお迎えいたします」というシーンがあった。これはひとえにツバキが武家の問でも愛好されていた証と言えよう。
2. 氷見の大ツバキ調査
老谷(おいだに)の「さしまたのツバキ(387cm)」・蒲田(かわた)の「伊藤家のツバキ(224cm)」・長坂の「長坂不動の大ツバキ(195cm)」・白川の「山本家のツバキ(195cm)」・磯辺の「永徳寺ツバキ(170cm)」等々の大ツバキ(括弧内の数字は目通幹回り一「氷見の巨樹名木」による。老谷の大ツバキと長坂不動の大ツバキは県指定の天然記念物となっている。)
このような素晴らしいツバキ群が、氷見市内一円に自然のままに残されていることはまさに驚異である。全国的にも珍しい存在である。
平成4年、老谷の「さしまたのツバキ」が、日本一の太さであることを知って以来、「氷見市内には、まだまだ大きなツバキがあるのではないか?」という疑問がわき、さっそく同志を募り大ツバキ(幹回り1m以上一樹齢約200年)の調査に取りかかった。
以後「氷見ツバキ愛好会」も結成され、会で調査した結果、現在までに150本あることも分かった。この大ツバキは、市内全域に点在しており、その一本一本に、それぞれの家や村の歴史が刻み込まれていることも分かった。そして、それらの家や村の方々に、ツバキから見た歴史を語り、説明すると、そのつど非常に喜ばれ、ますます調査に弾みがつき現在に至っている。
3. 特徴ある大ツバキ
(1)ツバキとキクザクラの抱き合わせの珍しいツバキ(上久津呂)
樹齢200年以上。キクザクラも、県内にはたった一本しかない希少価値のもの。中心にツバキが 2本、両側にキクザクラが2本で抱き合っている。
全国的にも珍しい状態の木である。ツバキの開花は3月上旬、キクザクラは4月下旬。いずれの花も「ぽとり」と落ちる。
(2)永徳寺ツバキ(磯辺)
樹齢370年。市内で一番早く咲くツバキで、10月末から4月まで咲きつづける。花の形や色から 見て、どうも氷見のヤブツバキではなく、江戸時代の園芸品種でないかと言われている。永徳寺は石動山天平寺のゆかりのある寺と言われており、この大ツバキがその歴史を知っているのではないか。
(3)株立ちツバキ(坪池)
根元幹回り4mの中に、30本に及ぶツバキの株が立っ姿は、見事と言うほかはない。日本ツバキ 協会に問い合わせたところ、そんな株立ちツバキは、見たことも聞いたこともないという。
く4)大安寺のツバキ(神代・蒲田)
平成13年の4月、神代・蒲田地区の山林内の大安寺跡に大ツバキを発見する。地区の住民ですら知る人の少ない「幻のツバキ」と言われていた。地区住民の知っている人に案内してもらい、まずはその存在を確かめることにした。あった!根元幹回り260cm、3幹立ちである。推定樹齢約500年。会員らで協力して大安寺の旧参道を復活し、見学会を行う。
4. その他の活動概要
(1)平成8年より柿谷(かきなや)の諏訪の森(大ツバキ他20本)、針木(はりのき)の国雲(こくうん)家の大ツバキ付近の草刈り。毎年2〜3回行う。
(2)平成8年、全国都市緑化祭が高岡市で行われ、老谷の大ツバキが、サテライト会場となり、老谷の大ツバキと氷見のツバキ群を案内する。
その後、毎年4月に、2回案内・説明している。
(3)氷見ヤブツバキを見学したい旨の要望が多くあるので、平成9年より、バス見学会を3回実施した。
(4)平成10年、「氷見市・ふれあいの森」に、水上俊正氏が、ツバキ(30年もの)150本贈呈する。さ らに、ツバキの苗木600本を贈って、「ふれあいの森・ツバキ園」を造成する。
またツバキ園」の開園を祝して、会員によるツバキ苗200本の植樹祭を行う。
(5)平成11年、ツバキ園の周辺と散歩道付近に、園芸品種の種子約2500個を植え付ける(会員のボランティアで)。
(6)平成12年、白川地区の楯鉾神社(たてほこじんじゃ)の大ツバキ群が、砂防工事の専用道路取り付けのため、伐採されることになった。この中に珍しい黒ヤブツバキなどが混しっており、伐採するに忍びず、関係機関にお願いして「ふれあいの森・ツバキ園」に移植する。(会員のボランティアで
(7)平成12年、早咲きの「氷見固有ツバキ」を、1400本挿木する。
(8)平成12年11月に、行願寺(岩瀬)で、テーマ「ツバキを愛でる」と題して講演会を開催。同時に、 早咲きツバキ一輪挿し展を開催する。
12月に、富山銀行氷見支店ロビーにおいて早咲きのミニ・ヤブツバキ展を開催する。
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